ハッピーハッピークリスマス
鞄の中にある携帯を取り出し見てみるも、まだ彼からは連絡がない。
それはそれでほっとするけど、でもいつ終わるかすら分からないバイトに再びため息を吐いた。
ーー大和〈ヤマト〉も忙しいのかな?
さっき店長から頂いたココアの缶に手を掛ける。
カポッと開けた途端、甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
それを一口啜れば、甘さが口いっぱい広がって少しだけほっとするけど、
でも、なんだか虚しい。
やっぱり、ケーキに釣られてバイトなんかしてしまったのがいけなかったかな?
いつまでもウジウジ悩んでいるのは性に合わないけど、でも悩まずに要られないのが乙女心なのかな?
ぼんやりそんな事を考えていたら、いつの間にか時間は過ぎ去って行く。
私は慌てて携帯を自分のポケットの中に忍ばせた。
持ってるぐらい、いいよね。
いつ連絡が来るか分からないし、すぐに連絡出来なくともこれを持っていれば、彼と繋がって居られれ気がする。
私はそんな言い訳を胸に、店長が待つ売り場へ戻った。