真夜中のプロミス
兄である頼朝によって結ばれた政略結婚だった｡
それは決して珍しいことではなかったかもしれないが､自分たちのものはあまり友好的でなかったのも事実だと義経は思っている｡
兄弟間の関係の冷たさが露骨になってきた頃のことだ｡
彼女の輿入れが行われたのは｡
政略結婚といえば御家繁栄のためだと思われるかもしれないが､二人の場合はそうではなかっただろう｡
当時､鎌倉での義経の評判が良かったとは言えない｡
そんななか武蔵の河越氏の娘を､と頼朝は言った｡
そしてその河越氏もまた､時に頼朝と仲違いしていることを義経は知っていた｡
