真夜中のプロミス
義経に、これ以上力をつけさせたくないと。
いつでも潰せるのだという頼朝の思いがひしひしと痛いほどに伝わってくる婚姻だったのである。
だからこそ周りの者は言った。
頼朝に叛を翻すならば、彼の思惑によって結ばれた郷御前を連れていく必要はないと。
頼朝が持ち込んだ縁など切るべきだと口々に唱えた。
「そんな…っ!必要ありません。私は貴方の妻です」
しかし、義経は決して郷御前の手を離すことはなかった。
そして郷御前もまた見えぬ未来に臆することなく義経の手を取ったのだ。
その瞳に誰にも縛られぬ静かな情熱を灯して。