真夜中のプロミス
睨み合うように、見つめ合うように。
声にならない言葉を交わすように対峙する二人。
何人も口を挟むことは出来ない空気が漂う。
郷御前に制された義経もまた、割り込みたい気持ちを抑えてことの成り行きを見守った。
「…ごめんなさい。静様」
先に沈黙を破ったのは郷御前の方だった。
普段はあまり耳にすることのない強い意志を持ったその声。
「……」
静御前はそれに答えることなく郷御前の目を見つめている。
そんな彼女に郷御前はもう一度、ごめんなさいと口にした。
そこにどんな意味が込められているのか。
それを知るのは対峙する二人だけ。