真夜中のプロミス
それでもその言葉が決して同情などでないことだけは、傍で二人を見ている義経たちにもわかる。
郷御前はそっと瞳を閉じ一度深く息を吸った後、ゆっくりとその唇を動かした。
「…私は義経様をお慕い申し上げております」
ただ、それしかないのです。この手を離すことは出来ません。
そうただ真っ直ぐに偽りなく。
静かな声色で語りかける郷御前。
そこには恐怖も嘆きもない。
ただこの手を繋いだ日と変わらぬ思いだけがそこにあった。
あの日胸に誓った想いだけが変わることなく燃えている。
言葉を失ったのは静御前だけではない。