蜜恋ア・ラ・モード


薫さんと心も身体も繋がり、洸太にも自分の気持ちを伝えたあの日から四ヶ月。

季節は冬も終わりを告げ、日差しに春の訪れを感じるようになっていた。

スマイル料理教室の方も軌道に乗り、年明けからはクラスも増やして忙しい日々を過ごしている。

初心者コースAの面々はと言えば───

6回の初心者コースを無事に終えたあとも、メンツはそのままでレッスンを続けている。

薫さんとの交際も順調で、忙しいながらも週末などは一緒に過ごして穏やかな時間を楽しんでいた。

でも、変わったことがひとつ。

洸太が本格的に会社を継ぐことになり、社長になった洸太は配達業務から外され、毎日顔を合わすことはなくなってしまった。

注文のことで電話で話すことはあっても、三ヶ月近く顔を合わすことがないなんて……。

生まれて初めてのことで、“寂しい”と思ってしまう自分がいる。

虫が良い話かもしれないけれど、彼氏ができたって洸太との関係は変わらないと思っていた。

でもそれは私だけだったみたいで。

私が薫さんと付き合うことになった翌日から洸太の態度は少しずつ変わっていって、私と距離を取り始めた。

それでも顔を合わせれば、ほっとできたんだけど。

洸太欠乏症?

こんなにも、洸太の顔が見たいと思ってしまうなんて……。


「今頃、なにしてるのかな……」

「え? どうかした?」


隣から薫さんの声がして我に返る。

しまった!!

今は薫さんと、借りてきた海外映画のDVDを鑑賞中だった。

洸太の名前は呟いてないとはいえ、心の声を表に出してしまうなんて……。






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