蜜恋ア・ラ・モード

フライパンに油とみじん切りにしたニンニクを入れ、火にかける。ニンニクの香りを十分に立たせてからスライスした玉ねぎとツナを加え、玉ねぎがしんなりするまで炒める。

そこへだし汁と醤油、大根おろしを汁ごと加え少し煮詰めたら、茹で上がったパスタを加えソースをよく絡め、仕上げに刻み海苔を散らして出来上がり。

早くに出来上がった高浜さんと一緒にスープを作ると、器に盛り付けをした。鶏ササミのピリ辛マヨソテーだけ持ち帰りの分だけ分けると、今日も恒例の試食会が始まる。


「都子先生。このパスタ、簡単なのに本当に美味しい。早速彼氏に作ってあげます」

「柳川さん、結婚式もうすぐだったよね? もう彼とは一緒に暮らしてるの?」

「はい、つい最近暮らし始めたんですけど。先日彼と新しい家具を見に行ったら、そこで偶然洸太さんに会って」

「洸太に?」


柳川さんの口から突然飛び出した“洸太”という名前に、動揺は隠せない。

何で家具屋なんかに洸太がいるの? 洸太はひとりだった? なにか話はしたの?

聞きたいことだらけで、頭の中はパニック状態。でもここで取り乱すような態度をとったら、きっと薫さんは何かを感じ取るだろう。

私はなんとか逸る気持ちを抑えると、柳川さんから発せられる次の言葉を待った。
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