蜜恋ア・ラ・モード
「はい。洸太さん、可愛らしい女性と一緒にいて。耳元でこっそり『彼女さんですか?』って聞いたら、照れくさそうに小さな声で『さぁ、どうでしょう?』なんて言葉を濁すんですよ。あれ、絶対彼女に間違いないです」
「わぁ! 洸太さん、彼女ができたんですね。だから最近は、ここへ顔を見せなくなっちゃったのかなぁ~」
梅本さんがそう呟くと、高浜さんも交えて女子たちは楽しそうに話を始めた。
でも私は、その輪の中に入ることはできなくて。
洸太が可愛らしい女性と一緒にいて。しかも家具屋で。
それってその女性は洸太の彼女で、家具を一緒に見に来ているということは……。
結婚───
嘘でしょ? そんなことってある?
私のことを好きと言ったあの日からまだ半年と経っていないのに、もう結婚相手ができたの? それって早くない?
なんて。そんなこと、私に言う権利はないんだけれど。
洸太が誰と付き合って誰と結婚しようと、私には関係のないこと。
だけど自分の心の中に、少なからず洸太がいることに気づいてしまった今となっては、知りたくなかった事実で。
このどうしようもない気持ちを、どう処理していいのかわからない。
洸太の話で盛り上がっている三人の気持ちとは明らかに違うもので、今声を掛けられたら何を言ってしまうのか自分でも予測できないくらい、私の心は乱れてしまっていた。