蜜恋ア・ラ・モード

慌てて咀嚼し口の中の唐揚げを食べると、薫さんに詰め寄った。


「戦うってどういう意味? 私、薫さんと決闘でもするの?」

「まぁまぁ落ち着いて、都子さん。今はとにかく腹ごしらえ。はい、おにぎり」

「あ、ありがとう……」


薫さんのペースに引きこまれて、何となく腑に落ちない。でもこれ以上は、何を聞いても話してはくれなさそう。

しょうがなくおにぎりを口にすると、薫さんも満足そうにおにぎりを食べ始めた。




太陽が傾き始めると、薫さん願いを聞くために車に乗り込む。

薫さんの最後の願いは、一緒に真佳さんのお墓参りに行ってほしいというものだった。

私に断る権利はない。それに薫さんとは終わりを迎えることになってしまったけれど、一度挨拶には行きたいと思っていた人だ。


「ここからそんなに遠くないんだ」


薫さんの言葉通り、真佳さんの眠っている墓地は車で十分と掛からないところにあった。

高台の墓地からも、綺麗な海が見える。


「真佳さんも海が好きだったの?」

「どうだろう。きっと僕の影響かな。ドライブって言っちゃ、海が見えるところばかり行ってたから」

「今日も海だったしね」


だねっと、薫さんは照れくさそうに頭を掻く。

お供えする花を購入すると、バケツに水を汲みお墓に向かう。真佳さんのお墓に到着すると手早く掃除をし、供花をしてから線香に火をつけた。

ふたり横に並んでお墓に手を合わせると、薫さんが真佳さんに向かって話しだす。


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