蜜恋ア・ラ・モード


仕事の合間に洸太に手伝ってもらいながら、慌ただしく料理教室の準備を進めていった。

この前洸太と買いに行った器の類も一週間後には無事届き、食器棚に整然と並んでいる。

募集していた定員も有難いことにいっぱいになり、幸先の良いスタートとなりそうだ。

実家から持ってきた勉強机に移動すると、数日前に出来上がった受講者リストに目を通す。

少人数制初心者コースが3クラス。毎週違った国の料理を楽しむコースが2クラス。そして、個別でのカリキュラム(個人のレベルに合わせた計画)希望者が数名。

思った以上に初心者コースへの応募が集まったため急遽1クラス増やし、まずはこの程度から始めていこうと決めた。

本当は、もっともっと沢山の人に料理の楽しさを伝えたいのだけど……。

『無理は禁物!! ゆっくりいこうじゃないの』と、自分に言い聞かせた。


そして引っ越しから一ヶ月経った10月初めの今日、料理教室がスタートする。

『スマイル料理教室』

この場所で夢を実現させようと決めた時に、ふと頭の中に浮かんだ。少し子供っぽい感じがしなくもないけれど。

でもここでの時間が楽しくて仕方がない。笑顔が絶えない空間になればと願い、この教室名でスタートすることにした。

今日は土曜日。午後一時からの初心者コース。四人の女性が来ることになっている。


昨晩は今日のことが気が気じゃなくて、なかなか寝付くことが出来なかった。それでも一度寝てしまえば身体は疲れていたのか、目が覚めると八時過ぎ。

九時には洸太が、今日の食材を運んでくるというのに……。

慌てて起き上がり洗面室に駆け込むと、自分の姿を鏡に映し出した。


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