蜜恋ア・ラ・モード
ひと通りの説明をしてなんとか洸太の機嫌を戻すと、急いでみんなの待つ部屋に戻る。
すると心配そうな顔をして、高浜さんが駆け寄ってきた。
「都子先生、大丈夫ですか? もしかしてこの人、都子先生の彼氏さん?」
「か、彼氏!? 違う違う、この人は……」
ここはちゃんと説明しておかないと。
後ろを振り返り洸太を手前に促そうと手を出すと、その手をパシッと掴まれた。
そしてその手を引かれると、洸太に肩を抱かれてしまう。
「みなさん、はじめまして。俺は都子の幼なじみの、洲崎洸太と言います。これから都子がお世話になると思いますが、みなさんよろしくお願いします」
私の保護者よろしくと言わんばかりに偉そうにそう言うと、私の肩を抱き寄せた。
「で洲崎さんは、都子さんの彼氏なんですか? とっても仲が良さそうだし」
好奇の目を向けて私を見つめる高浜さんにガックリと肩を落とすと、洸太を睨みつける。
「洸太がこんなことするから、みんなが勘違いするんでしょ!! この手、放しなさいよ!!」
左肩に掛かっている手をおもいっきり叩くと、洸太がその手を振りながら私から離れた。
「都子!! 何すんだよ!!」
「それはこっちのセリフ。もう教室が台無し。今すぐここから出てって」
無理やり洸太の身体を押して部屋から出そうとすると、今度は誰かに後ろから肩を掴まれた。
「都子先生、洲崎さんがいてもいいじゃないですか?」
足を止めその声がした方を振り向けば、有沢さんが余裕の笑みで立っていて。その笑顔を、洸太は面白くなさそうに見ていた。