蜜恋ア・ラ・モード
「意味は……わからなくもないけど」
相変わらず曖昧な答えしか返せない自分が、どうにも不甲斐ない。
こんな調子でのらりくらりとハッキリしない態度を取り続けているから、村野くんもイライラしてるんだろうけど……。
こういうことは当人同士の問題で、いくら洸太の親友だと言っても首を突っ込んでもらいたくない。
それでも村野くんの攻撃は止まらなくて。
「小浦の気持ちはどうなんだよ?」
どうなんだよって。恋愛感情はない……かな。
でもその答えを言ってしまったら私と洸太の関係は、きっと今まで通りにはいかなくなってしまうに違いない。
私はズルい女なんだと思う───
洸太に恋愛感情はなくても、洸太に冷たくされたり他人のふりや関係ない態度をされるのは嫌なんだから。
きっと洸太に彼女ができたりなんかした日には、居ても立ってもいられないに決まってる。
勝手極まりない、我がままな女なんだ。
こんなことを村野くんに喋ってしまえば、『それって恋愛感情じゃね?』って言われそうな気もするけれど。
この気持ちは幼なじみにしかわからない感覚というか、説明しにくに感情なわけで。
「私の気持ちを、村野くんに話す必要性はないと思うんだけど」
なんて、可愛くない態度をとってしまう自分がいて。
私たちのことを心配してくれているであろう村野くんには申し訳ないんだけど、やっぱり明確な答えは出てこなくて。
「こんな可愛げのない小浦のどこがいいんだよ、洸太のやつ」
「可愛げのないって。放っといてよ、バカ村野!!」
憎まれ口をたたきながら村野くんの背中を軽く小突くと、さっき洸太の姿を見つけた窓の方から叫び声が聞こえてきた。