蜜恋ア・ラ・モード

  繋がる気持ち


有沢さんにしてみれば迷惑な話かもしれないけれど、告白してしまったら胸につっかえていたものが取れてスッキリした自分がいた。どんな返答が返ってくるのかわかっている身としては、思っていたよりも落ち着いてしまっている。

それにしても、私もいい年してバカなもんだ。

何もわざわざ好き好んで、彼女がいる男性を好きにならなくてもいいのに。

世の中には有沢さん以外にも、男性はごまんといる。身近にだって、ひとりやふたり……。

って、いるのは洸太くらいか。昔から全然変わらない。

俯いたままそんな自分に失笑の声を漏らすと、ふと目の前に影ができる。

慌てて顔を上げると、私の肩を抱き横に立っていたはずの有沢さんが正面に立っていて、私を見つめる視線と絡まった。

どきりと胸が高鳴る。


「都子先生。あなたはさっき、僕のことが好きになってしまったと言いましたよね?」


そんな恥ずかしいこと、真剣な顔をして確認しないでほしい。もしかして呆れてるとか?

でも言ってしまった事実は、消すことが出来なくて……。

私は瞳を逸らせないまま、小さくコクンと頷いてみせた。


「本当に?」

「迷惑でしたよね、ごめんなさい。今私が言ったこと、全部忘れて……!?」


“下さい”と言おうとした言葉は、有沢さんの唇で塞がれて言えなくなってしまった。

何? 何で私、有沢さんにキスされてるの?

おかしいでしょ!? 有沢さんには彼女がいるのに、どうして私にキスなんてするの!!

信じられないっ!!

せっかく落ち着きを取り戻したというのに、有沢さんの取った当然の行動に悲しみと怒りが入り混じった感情が湧き上がってきた。そしてそれが沸点を超えると、私は有沢さんの胸を力いっぱい押し戻した。






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