蜜恋ア・ラ・モード
私がうんと頷くと、薫さんが立ち上がり私を抱き上げた。
「な、なに!?」
「僕がベッドまで運んであげる」
「でも……っ」
強引な薫さんの唇が重なり、私の言葉を遮る。
驚き薫さんの顔を見れば、言うとおりにしろと言わんばかりの目を私に送り、そっと唇を離した。
きっと私が何を言ったところで、全部却下されるに決まってる。
『下ろして』という言葉を飲み込み薫さんの首に腕を巻き付けると、彼の胸元に頬を寄せる。
薫さんの身体から漂うソープの香りが、私の鼻をくすぐった。
私と薫さんが、同じに香りに包まれている。
たったそれだけのことが私の心を豊かにしていくのを感じると、薫さんの首に回している腕に力が入る。
「都子さん、どうかした?」
私の微妙な変化を感じたのか、薫さんが顔をのぞき込んだ。
なんでもないと首を振る私にふっと笑みをこぼすと、脱衣所の棚においてあったバスタオルを私の身体に掛けた。
そしてそのまま寝室へと向かう。
身体も髪も濡れたまま。ふたりの身体から滴る水が、廊下を点々と濡らしていく。
そしてお世辞にも大きいとは言えないベッドに私を下ろすと薫さんもベッドに上がり、私の身体に跨るとバスタオルを手にした。
「髪だけ拭いてあげるね」
私の頭に下にバスタオルを回し入れ、頭を包み込むように拭く。
その間、唇は塞がれたまま。何度も角度を変えては落とされるキスに、私の息も切れ切れ。
そして頭を拭くのを止めると、薫さんの大きな手が首筋に触れ私の身体を滑り始めた。