Treasure~もう一度、恋~
ガイドワークスの木村さんは、人のよさそうな女性で、

歳は30歳前後、長い髪をひとつに結い、清潔そうなスーツで身を包んでいた。





「私、大学が藤村先生と同じで、しかも建築科だったんです!」

「あ、そうなんですか?」

「はい!それで藤村先生の卒業制作も先日大学で拝見しましたし、
 この前のカフェも見させていただきました!
 個人的に、藤村先生のインテリアがすごく好きなんです!!」




嬉しい。

嬉しい、んだけど…




「ありがとうございます。すごく、嬉しいです。
 …でも、取材はちょっと…」

「私、OKもらえるまで何度でも来ますから!!」

「え?」

「実はあのカフェにも問い合わせがすごいらしいんです。
 でもそれよりもなによりも、私は先生個人の取材をしたいんです。」

「…どうして、そこまで?」

「大ファンだから、です!!」

「…」



なんて、馬鹿正直な人…

でも、憎めない



絶句するあたしに、お茶を運んできたスタッフが声をかけた。



「先生、密着取材は無理としても、インタビューだけとか、
 受けてみたらいかがですか?
 オフィスの宣伝にもなりますし」

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