Treasure~もう一度、恋~
「…無理、だよ」




やっと出た言葉は、驚くほど小さくて頼りかった。

うつむいたまま、言葉を続ける。





「なんで」

「たしかに、嫌いになったわけじゃない。
 …でも、もう3年も離れてて、今はもうお互いの生活や都合があって。
 それを簡単に変えるなんて、出来ないよ。」

「…お互いの生活や都合、か」

「うん」




握る力が、少しだけ強くなる。

顔を上げると、不機嫌そうな瞬の視線とぶつかった。




「それって、さっきの男のこと?」

「…!」

「もう好きな奴がいるから、俺とは暮らせない?」

「ち、違うよ!」





否定の言葉を口にしても、瞬は納得していないようだった。

ぐいっと強く腕を引かれると、その反動で瞬の胸の中に飛び込んでしまった。

そのまま、強く抱きしめられる。



「…!」

「俺は、もうお前をなくすのは嫌なんだ」



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