Treasure~もう一度、恋~
晴れの日の昼下がり。

あたしは、オフィスで携帯とにらめっこしていた。




「平澤くんの着信が…8、9、10件。」



前は、週の半分は平澤くんと陽斗と3人で過ごしていた。

でも今は、ほとんど会っていない。

瞬のこともあるし、瞬以外の男の人と会うのは、なんだか気が引けたから。




「…来月には引っ越すし、ちゃんと話さなきゃ、だよね。」




意を決して、あたしは発信ボタンを押した。




『もしもし!』

「あ、平澤くん?」

『有希さん!なんかあったんですか?何回電話しても連絡取れないし…』




平澤くんには失礼だけど

なんだか、大型犬に懐かれた気分って、こういう感じなのかな




「ごめんね、いろいろ忙しくて。
 それで、ちょっと話したいことがあるんだけど、時間作ってもらえないかな?」

『それはいいですけど…なんですか?』

「電話だと、ちょっと。
 会って話したいから、オフィスの近くのカフェで今日の夕方とかどう?」

『わかりました。』





< 61 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop