Treasure~もう一度、恋~
「平澤くん、あたしと陽斗、引っ越すことになったの。」

「…え」

「実はね、陽斗の父親と再会して…一緒に暮らそうって言ってくれて。
 悩んだんだけど、そうすることにした。」

「…」

「平澤、くん?」

「この前アパートの前にいた男ですか?」

「…うん。」





あれから、瞬は時間を作ってはあたし達に会いに来てくれている。

最初は少し戸惑っていた陽斗も、今じゃすっかり懐いている。

あたし達は、少しずつ、家族になろうとしているんだ。




「俺、有希さんの過去とかなんにも知らないけど…
 なんで、今さらなんですか?
 今までふたりをほっといて、何してた人なんですか?」

「…」




瞬が芸能人だってことは、平澤くんにも言えない。

…でも、きっと彼は、納得するまで、ここを動かないと思う。




「陽斗が出来た時、彼の仕事がようやく軌道に乗った時期で…
 あたしは、なんの相談もしないで、姿を消したの。」


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