Treasure~もう一度、恋~
「…、有希?」

「ん…」





目を開けると、そこには瞬の姿があった。




「あ、おかえりなさい」

「ソファで寝てたら風邪ひくぞ?
 …って、俺のこと待っててくれたんだよな。遅くなってごめんな。」



時計は、午前1時を指していた。

そっか

陽斗を寝かせて、あたしはソファで瞬の帰りを待ったまま寝ちゃったんだ



「ううん、ご飯は?」

「そういえばなんも食ってないな」

「今温めるから。お風呂先に入る?」

「…うん」




振り向くと、なぜか瞬は嬉しそうに微笑んでいた。



「?どうしたの?」

「…いや」




瞬はあたしの質問に答えないまま、そっとあたしの腰に腕を回した。



「有希が家で待っててくれるなんて、夢みたいでさ」



ちゅ、っとおでこにキスが降ってくる。

頬、鼻、唇



ぎゅっと強く抱きしめられる。

あたしも、瞬の大きな背中に手を回して、それに応えた。



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