Treasure~もう一度、恋~
それからの1ヶ月は、思っていた以上に穏やかに過ぎていった。

瞬は撮影で週に1度くらいしか帰ってこれなかったけど、

必ず陽斗にお土産を買ってきてくれた。

あたしは、今までと同じ。

陽斗と歩いて保育園に行って、仕事して、陽斗を迎えに行って、

買い物して、3人のマンションへと帰る。



穏やかだけど、幸せな日々。



それは、1本の電話で、簡単に揺らいでしまう。

その時のあたしには、まだわからなかったけど――――。



陽斗を寝かしつけてすぐに、家の電話がなった。

瞬いわく、

“家の電話を知ってるのは、ごく一部の親しい人間だけ。
 だから、安心して出ていいよ”



「はい、大河内です。」

『…』

「もしもし?」

『瞬は、いる?』



綺麗な声の、女の人。

瞬のことを、呼び捨てにしてる。


『いるの?いないの?』

「…あ、すみません、撮影で、帰りは明後日になります。」

『え~、そうなんだぁ…』

「なにか、急用ですか?」

『ううん、携帯にかけても出ないから、家で寝てるのかと思って。』


親しげな、雰囲気

心が、ざわざわ音をたてる。



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