ベリーの魔法
聖夜まであと五日しかない。
たったの五日で、メリッサのわけのわからない魔法を解くことができるのだろうか。
かけた本人でさえ解き方がわからないというのに?
どんどん希望が薄れてきて、落ち込むコレットの肩にルークがそっと指の先を置いた。
顔をあげると、ルークの柔らかな笑顔が目に映り、コレットは一瞬どきっとした。
「安心してください。僕が必ず聖夜までにあなたをもとに戻しますから」
ルークはそう言って、ラズベリーをコレットに持たせた。
「まずは一つ試してみましょう。食べてみてください」
コレットは言われたとおりにラズベリーを一口齧った。
「どうですか?」
「何も……感じません」
飲み込んでみても、これといった変化はみられなかった。
「メリッサのくせに難解な魔法に挑戦したようですね。ベリーの魔法ですから系統はあちらで間違いないのでしょうが」
ルークは口元に指をやり、思案気に宙を見ながらまたベリーの山に向かってしまった。
コレットはしばらくルークの背中を見つめていたが、だんだん眠くなってきてバスケットの中に戻って眠った。