5年目のクリスマス
ホワイトクリスマス
改札を抜けて、ため息を吐いた。
気持ちが盛り上がらない私を笑うように、空からは点々と雪が落ちてくる。
姉さんに無理矢理着せられたカシミヤのコートの襟を立てても寒さは変わらず、家に帰りたいという思いが更に強くなる。
帰りたいのは寒さのせいだけではないけれど。
「タクシー……空いてる」
タクシー乗り場を見ると、普段は行列ができているのに今は数人が並んでいるだけ。
どうして今日に限って、と肩を落とした。
混んでいれば、行かない言い訳もできたのに。
「行くしかないか」
ぽつりと呟きとぼとぼと歩き出す。
歩く度にコツコツと響くハイヒールの音。
履き慣れていないせいか、その音は不規則で、不安定な私の気持ちを表しているようだ。
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