5年目のクリスマス
明るく笑い声を上げた運転手さんは、雪の中、車を走らせる。
高級ホテルとして知られるアマザンホテルは、クリスマスの今日、予約でいっぱいらしい。
会社でも、予約が取れなくて悔しがっている人を見かけた。
クリスマスを恋人とアマザンホテルで過ごすと幸せになれる、というジンクスも手伝って、一年も前に予約を入れる人もいると聞く。
「お客様も、恋人とお過ごしになるんですか?」
「え?」
「あ、申し訳ありません。クリスマスを高級ホテルで過ごせるなんて羨ましいのでつい、立ち入ったことを聞いてしまいましたね」
運転手さんは、申し訳なさそうに呟いた。
「いえ、いいんです。でも、会社の先輩と食事をするだけです。こんな特別な日に、アマザンホテルで食事をするだけなんて、予約を取れなかった人には申し訳ないんですけど」
「いえ、申し訳ないなんて、そんなことないですよ。先ほどのお客様は、ずっと好きだった方に告白するためにかなり前から予約を入れていたとおっしゃっていましたから。
この特別な日の過ごし方は人それぞれです」
「告白……」