air-s Word
出会い、は。
何の目的もなく家を飛び出した。
どうしてそんなことをしようと思ったかは分からない。
僕は持ち物も一切持たず、掛かってきた電話にも出ずに、無視をした。
親戚の人は、僕のことを探しているんだろう。 何も言わずに立ち去った僕を心配しているのか…
けれど。
もう何だっていいんだ。
ほんの少しの希望の欠片も存在しないんだ。
理由もなく足を運ぶ。
知っている筈の道も、店も、何もかもが知らないものに見えて、まるでフィルターがかかっているかのように見えた。
ライトが暗くされたかのように、薄暗く感じる。
『…寒い…』
やはり、声は出ない。 まるで出し方を忘れてしまったかのようだ。