air-s Word
「あれ…?瀬乃君だよね?」
訳も分からず首を縦に振った。
「あーよかったよかった…雫から聞いてたけど間違ってたらどうしようかと思った……
でさ、すっごいうなされてたけど大丈夫?心配になってつい起こしちゃったんだけど」
…夢、だったのに。
いや、夢だったからか。
僕のことを見つめる直の瞳は妙な現実味を持っていた。
僕が彼に恨まれるのは当たり前だ。
分かっている。
なのに、“人殺し”と言われたあの時、どうして僕が死ななかったんだろうと切に思った。
それは、当たり前を当たり前で肯定できていないことの表れだった。