air-s Word
「大丈夫?聞こえてる?」
目の前にいる彼は、僕が声を出せないことを恐らく知らないのだろう。
どうしよう、と思ったけれど身振り手振りで物を書く動作をすると、彼はその意味を理解した顔をした。
「書くものが欲しいの?」
『はい』と口を動かすと、彼は部屋の中央に位置する机の上からノートとペンを持ってきてくれた。
『貴方は?』
「…そうだ名前名乗ってなかったわ…まじごめん!
俺は有島拓。高二で瀬乃君とタメじゃない?違う?雫の言ってたことがあってればだけど…ていうか昨日アイツ説明しなかったの?俺のこと」