さよなら魔法使い
サヨナラマホウツカイ
この場所と向かい合うのは何年ぶりだろう。
少し懐かしさを覚える居慣れた空間に彼女はゆっくりと入ってきた。
向かうのは奥にある棚、口元に人差し指をあて小さく唸り声を上げる。
そしてその指を棚に伸ばし、横に滑らせながらズラリと並ぶタイトルを目で追っていった。
「あった。」
気持ち弾むような声を出して慣れた手付きでそのCDを取り出す。
ケースを開き中身を確認しながらデッキの方へと足を動かすと、彼女は流れるように機械の中へ押し込み再生ボタンを選んだ。
少し古い型の機械はほどよい間をおいて軽快な音楽を流し始める。
「歌えそう。」
何も見なくても口から勝手に出てくる歌詞にその曲の身近さを感じて心が弾んだ。
何度聞いても飽きることのない、この時期の定番曲は彼女の部屋いっぱいに広がっていく。
手首に付けていたシュシュを外して長い髪をひとまとめにすると、もう長い間使っていなかった机やチェストを開いて彼女は荷物整理を始めた。
とはいえ、数年前に家を出るときにほとんど処分は済ませてある。
どうしようか悩んだものぐらいしか残っていなかったのでそんなに量は多くなかった。
少し懐かしさを覚える居慣れた空間に彼女はゆっくりと入ってきた。
向かうのは奥にある棚、口元に人差し指をあて小さく唸り声を上げる。
そしてその指を棚に伸ばし、横に滑らせながらズラリと並ぶタイトルを目で追っていった。
「あった。」
気持ち弾むような声を出して慣れた手付きでそのCDを取り出す。
ケースを開き中身を確認しながらデッキの方へと足を動かすと、彼女は流れるように機械の中へ押し込み再生ボタンを選んだ。
少し古い型の機械はほどよい間をおいて軽快な音楽を流し始める。
「歌えそう。」
何も見なくても口から勝手に出てくる歌詞にその曲の身近さを感じて心が弾んだ。
何度聞いても飽きることのない、この時期の定番曲は彼女の部屋いっぱいに広がっていく。
手首に付けていたシュシュを外して長い髪をひとまとめにすると、もう長い間使っていなかった机やチェストを開いて彼女は荷物整理を始めた。
とはいえ、数年前に家を出るときにほとんど処分は済ませてある。
どうしようか悩んだものぐらいしか残っていなかったのでそんなに量は多くなかった。
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