イヴ ~セカンドバージン~
トラウマ
「ただいま。」
「お帰りなさい。」
「お客さん?」
玄関に見慣れない男物の靴が揃えてあるのが目に入り、キッチンにいるお母さんに声をかけると忙しそうに手を動かしている。
「お父さんが会社に忘れた書類を部下の方が届けてくださって。羽衣(ウイ)挨拶がてらお茶のおかわりお出しして。」
「あっうん。」
鞄をソファーに置くとお茶菓子を1つつまみ食い。
背後からお母さんの「お行儀が悪いわよ。」なんて小言が聞こえてくる。
「失礼します。お茶のおかわりをお持ちしました」
「羽衣おかえり。 本当は酒でも勧めたい所だが車らしくてな。」
客間では終始ご機嫌のお父さんを目の前に終始真面目な顔の男の人が…
「郡山(コオリヤマ)君紹介するよ。我が家の一人娘の羽衣だ。隣町の高校で教師をしておる。」
「羽衣です。この度は父がご迷惑かけてすいません。」
「いえ… そんな迷惑なんて。」
緊張しながらもかすかに笑った顔が印象的で。
この瞬間が郡山 寛輝(コオリヤマ ヒロキ)との出逢いだった。
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