イヴ ~セカンドバージン~
「ではごゆっくり。」
なんてしたくないだろうなぁと思いつつもお決まりのセリフを口にして、その場を後にしようとした時だった。
スーツのポケットでスマホが鳴りだし慌てて手に取ると画面にに表示されたのは勤め先の高校で、21時を過ぎたこんな時間に連絡があるなんて良い話しで無いのはわかっていながらも電話に出る。
「はい。はい。わかりました。うちのクラスの生徒が本当にすみません。すぐ向かいます。」
電話先から聞こえる困り果てた教頭の声にただただ謝るばかり。
「どうしたんだ羽衣?」
「うちのクラスの生徒数人が暴力沙汰で警察に補導されたらしくて、私行かなくちゃ」
気持ちばかりが焦ってしまってどうした?って聞かれてもお父さんに上手く説明できない。
「僕車で送りますよ。駅まで行って電車乗るより早いんで。行先は学校ですか?警察ですか?」
「でっでも…そんなご迷惑…」
「遠慮している場合と違いますよ。」
さっきまでの緊張してた表情が真剣な顔付に変わると郡山さんが立ち上がり、お父さんに頭を下げた。
「羽衣、郡山君に送っていただきなさい。」
決め手はお父さんの一言だった。