イヴ ~セカンドバージン~

助手席に案内されるままに車に乗り込む。

 「私まで送っていただくことになって本当迷惑ばかりかけてしまって…申し訳ありません。」

 「そんな、俺から言い出した事ですし気にしないでください。それに通り道ですから。」

ハンドルを握る彼の横顔に一瞬胸の高鳴りを憶えた気がしたが、警察署に補導された生徒達の事を考えるとザワザワっとした不安で押しつぶされそうになる。

車のスピーカーから流れてくる流行の曲で気を紛らそうにも気持ちばかりが焦ってしまう。
補導されるまでに至った事情も生徒達の怪我の状態さえも把握出来ていない状況が余計に焦りに変わっていく。

 「羽衣さん?と呼んでも…」

 「あっはい。」

 「生徒さんの事心配ですよね。もうすぐ着きますから」

 「郡山さんにまでご迷惑おかけして本当にすみません。」

 「羽衣さんって俺に謝ってばかりですね。」

彼に言われてみればそうかもしれない。
彼が見せた何気ない笑みに救われた気がした。

                     
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