イヴ ~セカンドバージン~
自宅前で車が停まる。お茶でもっていう時間でもなく私はシートベルトを外すと運転席の彼に頭を下げた。
「今日はすいませんでした。本当に助かりました。ありがとうございました。」
「あのう…羽衣さん、またお会いしていただけますか? 今度はお食事にでも。 」
「それなら今日のお礼をさせてください。」
「お礼とかそんな。あっでも羽衣さんを食事にお誘いすること部長に許可もらった方がいいですよね?」
「郡山さんって真面目なんですね。」
なんかそんな彼が微笑ましくて。
「すいません。つい。」
「お食事楽しみにしていますね。お父さんが許可してくれたら少しくらい遅くなっても安心して出かけられます。」
「部長に許可いただけたら連絡しますね。」
「はい。おやすみなさい。」
彼の車が角を曲がるまで見送る。
11月の冷たい風がなぜか心地よかった。