ｲヴ ~ｾｶﾝﾄﾞﾊﾞｰｼﾞﾝ~
翌朝登校すると昨晩の騒ぎが噂になっていた。
朝から臨時職員会議が開かれ今回の件について話し合われた。

こうなる事はわかっていたから昨日警察署から教頭に騒ぎの一部始終を電話で説明したのに会議に上がる話題は今回問題を起こした生徒の処分についてばかり。

　「今回の件は担任として処分は必要ないと思っています。」

　「でも葛城（ｶﾂﾗｷﾞ）先生理由を考慮しても暴力を振るったのには変わりないんですよ」
周囲の先生の言い分は正当な事なのかもしれない。
でも今ここで処分してしまったら、生徒の仲間を守りたいって思いまで否定してしまいそうで。

　「今回もしあの子達が見ても見ないふりをしていたらもっと最悪な結果になっていたかもしれないんですよ。
それでも今回の事は処分に値することなのでしょうか?どうかお願いします。彼らの仲間を思いやる気持ちを大切にしてあげてください。」

私は頭を下げながら郡山さんの言葉を思い出していた。

　「いいんじゃないんですか?　大切な人を守るためなら俺はそう思いますけど」
その言葉が心強かった。

　「どうですか先生方、今回の件は葛城先生の言う通り悪意ある行動ではありません。暴力を振るったことは反省が必要な事ですが、我が校の生徒が助かったのも事実です。今回の件は葛城先生に厳重注意をしていただくということでいかがでしょうか?」

教頭の一言でその場の雰陰気が逆転する。

　「教頭がそう言われるのなら私たちは…」

　「ありがとうございます。」

私は頭を下げながら教師になって初めて教頭に感謝していた。
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