イヴ ~セカンドバージン~
2年前のクリスマスイヴ。
私は彼の家でクリスマスを過ごしていた。
彼と重なる肌も、彼の温もりも全てが愛おしかった。

別れたはずの彼女が合鍵を使って乱入して来て「泥棒猫!!」と泣き叫び私の頬を思いきり打(ブ)ったその瞬間までは。
私が衝撃を受けているように彼女もまた私と彼の関係にショックを隠せないでいた。

余りに突然の事と自分が今何も身に纏っていない現実。それと彼とHしているところを見られた恥ずかしさ。慌ててシーツで身を隠した私に「出て行ってくれないか?」彼はそう言い放った。
言われている言葉の意味がすんなり理解できない瞬間だった。その言葉が何故自分に向けられているのかも。
今… ついさっきまで重なり合った肌も温もりもそこには無くて。私は泣きながら服を身につけると逃げるようにその場を後にした。

後日彼女に呼び出されて言われた言葉は、「少し距離を置きたかっただけ。別れるなんて一言もいってない。彼が勝手に勘違いしただけなの。だから彼の事は諦めなさい。っていってもあんな仕打ちされたらねぇ~」

完全に見下した表情、言葉。

 「あなたとの事許す変わりに結婚することにしたから私達。少し距離置いてみてわかったの。お互い必要だって。あなたの存在も彼を誰にも奪われたくないって気づかせてくれたわ。そういう意味ではお礼言わないと」

完全に勝利した女の余裕。
私は単にこのふたりの絆を強くしただけの捨て駒に過ぎなかった。

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