愛おしい2人のXmas〜やっぱり愛おしいSS〜
「………へっ!?」
「…何だ?そのマヌケな声は?
しかも顔もマヌケだぞ。」
貴晶さんは私の頬をツンと突ついた。
「……だって。」
突然の事に思考が追いつかない。
「…『だって。』が何?」
貴晶さんが私の顔を覗き込んだ。
「…だって…明日平日で
貴晶さんは会社…。」
夕方なんて無理なはず…。
すると、貴晶さんは
クスリと笑みを浮かべて
私の肩をそっと抱き寄せると
「…俺、明日の午後は半休だ。
仕事は片付けているから
誰にも文句は言わせない。
…だから、夕方行くぞ。
茉優莉も本当は行きたかったんだろ?
俺はお前の考えてる事ぐらい
ちゃんとわかってるんだぞ?」
と、私の耳元で囁いた。
えっ…?
私は目を見開いた。
貴晶さんとお付き合いしてから
『イルミネーション見に行きたい。』
って、一度も言った事なんてない。
黙ったままの私に貴晶さんは
「…で、どうなんだ?
行くのか?行かないのか?」
と、ジロリと私を見つめた。
「…い、行きたいです!
でも…だって…私は一度も
貴晶さんに行きたいって
言った事なんてなかったはず。」
すると、貴晶さんは
“チュッ”と触れるだけのキスをして
「…お前が辞める少し前に
『結婚して初めてのクリスマスは
藤堂部長と手を繋いで
イルミネーションを見に行きたい。』
って、荒井に喋ってたんだろ?
…先週、柴田が言ってた。」