ネージュ【短】
あんな態度取っちゃいけないって分かってる。



分かっているけど、もう見ていられなかった。



お手洗いと言って出てきたけど、ホントはウソ。



廊下にあるベンチのようなフカフカの椅子に腰を下ろした。



「ふぅ…」と溜め息を吐き、心を落ち着かせる。



「夢叶ちゃん」



突然名前を呼ばれ、慌てて見上げればそこには陣さんの姿が。



「陣、さん…?」



どう呼んでいいか分からず、とりあえず“さん”付けで呼んでみる。



「名前、憶えてくれたの?ありがとう。隣座ってもいい?」



「あっ、はい。どうぞっ」



少しだけ左にずれると、陣さんはドサリと隣に座った。



「あのさ」



そう言って陣さんは、わたしの方を向き声を掛けてきた。



「あの二人、どう思う?」



やっぱり陣さんも気になってるのかな。



「えと…、元カノカレ…、でしょうか…」



自分で言って胸が苦しくなる。
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