Blue sky days

 何が起きたかわからなかった。
だが、最後に聞こえたのは鎖を解く音。

東雲は、昼休みが終わるのを待っていた。
そして…あの化け物を学校に解き放った。

 北校舎は火の海だ。
生徒が逃げ惑っている。
死人も出ていてもおかしくない。

化け物は、人間を見つけては襲い掛かっていた。
魔法使いが魔法で戦っても効いている様子がない。

「先輩…」

どうすればいいのかわからなかった。
先輩も呆然としている。

 最後、察知できたからか、
丹野さんが防御璧を張ってくれたので
飛んできた岩なんかにダメージを食らうことはなかった。

「…火…火を…火を消さなきゃ」

これ以上のことが起きては、
南校舎の生徒にも被害が出かねない。
これ以上の被害が起きては…

「落ち着け。俺たちがやる」

 その時の先輩たちは
見たことのない表情をしていた。

憎悪でも憎しみでも喜びでもない
ただ穏やかで、真剣な
ただ、見惚れるしかない…

「フリージング・ウォーター」

 強力な水魔法。
魔力が劣っていると、大人でも出すことができない。
それを中学生が…
さすがトップクラスといったところか。

「…っ。消えねぇな。野口」

魔法を使いながら加茂さんは呼び掛けた

「あぁ、わかってる」

自然に。ただ、いつもとは違う落ち着きを持っている
これは…?

「アクア・ゲール」

風魔法…
これも強力なやつだ
トップクラスしか出せない魔法の数々に
俺は見ているしかできなかった






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