Blue sky days

「…ていうね。魔法使いの間では有名な話。
 この話で紫桜の存在に根拠ができるだ」

 長々と昔話を語ってくれた野口さんは、
ものすごいのんきな口調で根拠を説明し始めた。

「…野口じゃ意味わかんないと思うけど、
 話の中で、いろいろと共通点があるんだ」

 野口さんの代わりに説明し始めた太一さん。
どっちにしろ、簡潔に説明してほしい。眠い。

「勝手に魔法が発動してたり、一時的にものすごい魔法が使えたり、
 生まれながらに魔法が使えるところがね」

 あ、結構簡潔に説明してくれた。
だが、主語がねぇ…

「紫桜が気絶した時、ポケットから小さな瓶が落ちたんだよ。
 これ、中に粉が入ってるから、きっとこれが不思議な粉にあたるんだろうな」

 いつから持ってたのか。野口さんが取り出した瓶は、確かに俺のものだ。
いつも持ち歩いているけども、そこまで意味があるとは思わなかった。

「…これ、どれくらいあるの?」

 唐突に何言いだすかと思えば、丹野さんは粉をさしていた。
きっと、粉の残りについて聞いてるんだろう。

「…これだけだと思います。作ったこともないし」

 小さな瓶に入ってるだけの粉。
まぁ、どれくらいなのかはわからない。

「もしかして、取り出してもなくならない。とか?」

 笑いながら言ってくる野口さん。
ふざけてるのかなんなのか。全員目線が瓶に集中する

「…試してみる価値はあるな」

 そういって瓶を取った丹野さんは、
ふたを開けて紙の上に粉を取り出した。

「…瓶の中が変わらない…?」

 粉を出しても瓶の中身が減らなかった。
なんでかは分からないけど、野口さんの言ったことが当たったのだ。

「…マジで魔法の粉なのかよ」









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