天使のラプソティ~声になる~
第1章

歌声

空は薄い青色

柔らかい日差しが薄い雲を通して降り注ぎ

秋の匂いは風にのってふんわりと街を包む。

枯れ木から赤い葉が一枚ひらりと落ちた。





そんな何でもない秋の日の放課後。
緑丘公園の側を通ったとき




どこからか


歌声が聞こえた。




高くかすれた声は透き通るように響き
じんわりと胸に沁みてくる。

繊細で
綺麗で
切なくて

とても不思議な声だった。



「何だ・・・・?」


歌声のするほうへ向かうと
ベンチに座っている女の子の後姿が見えた。

無意識に側へと足が動いた。
近くによるとより声が響いてくる。




歌は良く知らない歌だった。
歌詞もよく聞き取れない。


けれどひどく心を打つ。


綺麗な良く通る声。
でも
それだけじゃなくて、


どこかに悲しい色が隠れてる


切なさが耳を通して体中に広がった。

不思議な感情が体をめぐる。




胸が締め付けられた。






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