天使のラプソティ~声になる~
今日の放課後も俺は緑丘公園に行くことにした。
未央を見つけたのは、その道の途中だった。
公園の側の交差点で誰かうずくまってる。
よく見ると、それは未央だった。
せっぱつまった表情で、あたりをキョロキョロ見回してる。
何かと思って近づいてぎょっとした。
「うわっ・・・大丈夫か!?」
未央の足元には、血だらけになった猫がいた。
車にはねられたのか、今にも死にそうなほど苦しんでる。
痛々しくてすごくかわいそうだ。
俺に気づいて振り返った未央は
青ざめて
泣き出しそうだった。
助けを求めてる。
どうしていいかわからなくて
誰かに助けを求めてる。
俺にはそう見えた。
俺はすぐに猫を抱き上げる。
「ここら辺に動物病院ある?」
未央は一瞬固まって、おろおろと交差点の先を指差した。
「あっち?」
未央がうなずく。
俺は急いで走った。後ろから未央が着いてくる。
「これは?どっち?」
二手の分かれ道に出た。振り返って聞くと、未央は狭い道を指差した。
その突き当たりに小さな病院があった。