天使のラプソティ~声になる~
気がつくと、知らない場所にきていた。
見慣れない風景が広がってる。
私たちの乗ってる自転車は、だんだん都会から離れていった。
いったい
どこに行くの?
声が出ない私には、聞くことができなかった。
もうけっこうな時間が経ってる。
飯島さんの息も切れてきてた。
私たちの街が遠く遠くなっていく。
飯島さんを見上げても、顔が見えなかった。
「・・・・・・・・・」
私は飯島さんの背中に抱きついた。
「未央・・・・・・・」
乗ってから初めて
飯島さんが口を開いた。
「この間は、ごめん」
何のことかすぐにわかった。
「一番言っちゃいけないことを言った。未央をすごく傷つけた」
違う。
飯島さんは悪くない。
何にも伝えない私が悪いの。
怒るのは当然だよ。
言いたかったけど、声が出せなかった。
「俺はまだ全然ガキで、自分のことしか考えてなくて、未央を傷つけてばっかだ」
飯島さんが途切れ途切れに息を切らした。
違う・・・・違うよ。
飯島さんは優しくて、私にすごく気を使ってくれてる。
悪いのは私だよ・・・・・。