天使のラプソティ~声になる~
「でも・・・・・これからは・・・・絶対、そんなことしない」
飯島さんは前を向いたまま、声を強くした。
「誰よりも、お前を大事にする・・・・っ!」
目の前に大きな坂があった。
私が降りようかと身じろくと、片手で胸のほうへ回した手をつかまれた。
「降りんな」
飯島さんの手は
大きくて
すごく熱かった。
「お前乗っけてここのぼったら・・・・何かが変われる気がする」
ドクン。
心臓の音が急激に高鳴った。
飯島さんは、坂をのぼりはじめた。
「俺もお前も、何かが変わる気がする。だから、乗ってて」
飯島さんは息を切らしながら言った。
のぼるスピードが速くなる。
「一緒に、変わろうぜ」
初めて飯島さんが振り向いた。
汗が光る
一瞬で惹きつけられる笑顔だった。