天使のラプソティ~声になる~
喋れない子
未央には、声だけじゃない。
笑顔にも性格にも
すごい魅力があるんだな・・・・。
昨日の笑顔。背中に書かれた言葉。
会って三日でこんなに惹きつけられる。
珍しいこだよなぁ・・・。
「奏也」
授業が終わった後、俺はアキラに呼ばれた。
「何だよ」
「麻子に天羽未央ってこのこと聞いてきたんだよ」
俺はすぐに反応した。
「おー。何だって?」
アキラはなぜか表情を曇らせた。
教室を見回して、俺の腕を引っ張る。
「ちょっと来い」
「はぁ?何だよ」
俺はアキラに連れられ、人通りの少ない階段の踊り場に連れてかれた。
「おい、何だよ?」
「まぁ別に教室でも良かったんだけど。あんま大声で言って良い話じゃねえし・・・」
アキラは気まずそうに俺から目をそらした。
「・・・・なぁ、ほんとに歌ってのは天羽未央ってこか?」
「はぁ?どういう意味だよ」
いつものアキラらしくない。
妙にそわそわして何かを隠してる。
何かあるならはっきり言えよな。
俺がじっと睨むと、アキラは神妙な面持ちで俺を見た。
「一年に天羽って名字は1人しかいないらしいんだけど・・・・」
アキラが声をひそめる。
「そのこ、声が出ないらしいんだ」