天使のラプソティ~声になる~
話し終えると、未央は重い雰囲気で下を向いてた。
「・・・・・・・・・・・」
俺はコップの水を一口飲んだ。
未央はじっと固まってる。
俺は言葉が出てこなくて、テーブルに視線を落したまま黙ってた。
やがて、未央が思い立ったように鞄からノートを取り出した。
何かを書いて、俺に見せる。
『また走りたいとは思わないの?』
「・・・・・・・・ううん」
俺は苦笑いをした。
「何て言うか、もういいや。一年の時はハゲるかと思うくらいすっげー悩んでたし。あんな思いしてまで走る必要ないっつうかさ」
俺はつとめて明るく振る舞った。
笑顔で、特に気にしてません風な軽い口調。
それでも、未央の不安げな瞳は変わらなかった。