天使のラプソティ~声になる~
俺の顔に張り付いてた作り笑いが崩れる。
「・・・・・・・・・・」
俺は下を向いた。
あの時のアキラの瞳によく似てる。
俺の気持ちを見透かしてるみたいな視線だ。
耐えられなくなって、俺は席を立った。
「もう出るか」
けれど、未央は不安そうな顔でじっとイスに座ってる。
まだ話し足りないような顔。
未央がペンを持ってノートに向かった。
俺は、無意識のうちにその手を掴んでいた。
未央が唖然とした表情で掴まれた腕を見てる。
俺は下を向いた。
「ごめん・・・・・。あんま、触れてほしくない」
俺の声は、自分でも驚くほど低かった。
暗くて、冷たいうつろな声。
俺は未央に背を向けて、出口のほうへ逃げた。