天使のラプソティ~声になる~
一瞬、言葉の意味がわからなかった。
声が、出ない?
嘘だろ。ありえないだろ。
だって、俺はちゃんとあのこの声を聞いた。
すごく感動した。
なのに声が出ないなんて、そんなのありえない。
「・・・・っ何言ってんだよ。俺はちゃんと声聞いてんだぜ?」
笑い飛ばそうとしたけど、アキラの顔つきは変わらなかった。
俺の動揺が激しくなる。
「・・・・・声が出ないのは体の病気とかじゃなくて、精神的なものらしいんだ。昔すごく辛い思いをして、それ以降喋れなくなっちゃったらしいんだよ」
アキラの言葉が頭に反響した。
精神的なもの?
昔辛い思いをした?
「それって・・・」
「過去のことはよく知らない。誘拐されそうになったとかいじめを受けたとか噂はあるけど、ほんとかどうかは」
「・・・・・・・・・」
俺は黙った。
未央は、過去にどういう思いをしたんだろう。
声が出なくなるなるほど辛かったのか。
何にも知らないで歌ってくれとか頼み込んでた俺、ばかだ。
話せないのに必死に俺に答えてくれてたのか。
俺、何の気遣いもしてやってなかった・・・・・。