天使のラプソティ~声になる~
一週間くらい経って
ある日未央からメールが来た。
『今日の放課後に会えませんか?この前と同じお店で待ってます』
口調が敬語に戻ってる。
未央はこの一週間、何を考えていたんだろう。
どんな話をする気だろう。
俺は『行く』とだけ送って、放課後、指定されたファーストフード店に行った。
奥の席で、未央がちょこんと下を向いて座ってる。
「未央」
声をかけると、未央は顔を上げて小さく手を振った。
俺は向かいの席に座る。
「・・・・今日は、どうした?」
とりあえずいつも通りに話しかけてみた。
未央が鞄から手紙を取り出し、震える手で差し出してきた。
俺は黙って受け取り、中を開く。
『いろんなことを考えたらその場では伝えにくくなったので、手紙にしました。
迷惑だったらごめんなさい。
一週間いろいろなことを調べました。私は、飯島さんはきっとまた走れると思います。飯島さんが、私の目にはもう一度走りたそうに見えました。
図書館などでたくさんの本を見てきました。いくつか持ってきたので、もし良かったら役立ててください。
もう一度グラウンドに立つのは怖いかもしれませんが、飯島さんならできると思います。』