天使のラプソティ~声になる~
望月茜
集団の中から、私服の一人が俺のそばに歩み寄ってきた。
ミディアムヘアの黒髪。
健康的に焼けた肌。
切れ長の目。
「―・・・・・・茜・・・・・・・・・?」
「やっぱ奏也!?うわー久しぶりー!」
まさか
こんなところで茜と出会うなんて・・・・・
「大会出てなかったから陸上やめたのかと思ってたー。何でここいんの?」
「・・・・・・・ちょと、な」
あまり詳しく話したくなった。
茜には、中学時代の俺を知られているから。
「茜こそ、受験生だろ?何でこんなとこいんだよ」
「高3だってちょっとぐらい休むっつの。今日は後輩の応援だから特別」
茜は中学のときより大人っぽくなってた。
中学時代ショートヘアだった髪も、少し手入れがされている。
うっすら化粧もしてるように見えた。
「まさかまた会う時がくるなんてねー。びっくりだよ」
「こっちの台詞だよ」
そのとき、茜が俺の後ろに隠れてる未央に気づいた。