天使のラプソティ~声になる~
俺らはポスターの束を鞄に詰め込んで病院を出た。
外は昨日より薄暗くなってる。
未央は手を振って帰ろうとした。俺が慌てて引き止める。
「途中まで送るよ。暗い中女の子1人で帰らせられねーし」
未央は遠慮してるのか首を振った。
何となく寂しい。
「迷惑?」
訊いてみると、未央はさっきより大きく首を振った。
俺はにかっと笑う。
「じゃあ遅らせてよ。かっこつけさせて」
未央は驚いた顔をして
それから赤くなって笑った。
可愛い。
「どっちの方向?」
未央の指差す方向に向かって俺らは歩き出した。
「未央の家ってこの近く?」
首を横に振る。
「もしかして、遠い?」
ちょっと考えて、未央は首を縦に振った。
「やべっ!門限大丈夫か?遠いのにごめんな」
未央は笑顔で首を振った。
「いいよ」って声が聞こえた気がした。
未央はバス停のところで立ち止まった。時刻表を見ると、次のバスまであと15分ある。
「どこで停まんの?」
未央は三つめの停留所の名前を指差した。
確かにちょっと遠い。
「通うの大変だろ。何時くらいに起きてんの?」
未央は両手を使って”5“と表した。
「早っ!」
未央がくすくす笑う。