天使のラプソティ~声になる~
昼休み、俺らは屋上で弁当を持ってって食べた。

今のところ猫の飼い主の情報はなし。
気になって、未央にもメールしてみた。

『よっ。
 俺はとりあえず学校中にポスター貼っといたけど、収穫ナシだった。
 そっちは?』

「誰にメール打ってんの?」
横からリョータが覗き込んできた。
慌てて隠す。

「あ、女?」

リョータはにやにやして茶化してきた。
水泳部で日焼けして真っ黒だ。いかにも夏を楽しんだ風に見える。

「うっせーな違ぇーよ」
「奏也もさっさと彼女作れば?お前モテんだから」

横から慎哉も乗ってきた。
太い黒縁眼鏡の奥の瞳が笑ってる。

「はいはいどーせ俺は独り身ですよ。モテねーから」
面倒くさいから適当に流した。

「うぜー。この前C組の遠藤に告られてたのはどうなったんだよ」

俺は二週間前に告白された女の子の顔を思い出した。

「どうつったって・・・・。よく知らねーこに告られても困るじゃん」

「うわ最低―。遠藤可愛いのに」

リョータがきゃんきゃん騒いでる。こいつはあのこが可愛いだとかあいつは足綺麗だとかいっつも言ってる。ちゃんと本命がいるくせに。


リョータは同じクラスの新垣に恋してる。
新垣とリョータは幼なじみで、いつも喧嘩してる。でも一緒に学校に来たりしてて、いい感じだと俺は思うんだけどな。

けれどリョータにはその「幼なじみ」の距離が遠いらしい。



慎哉はバイト先の2つ上の先輩と付き合ってる。
だからバイトのある日はすごく嬉しそうで、バイトの時間も増やしてるらしい。バイト代が入ったら週末に遊びに行ってる。


アキラも桜凛の彼女と週末には必ず会ってる。




みんな恋してるんだな・・・・・。








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