天使のラプソティ~声になる~
猫の飼い主
病院に行くと、もう未央の姿があった。
隣には桜凛の制服を着た女の子がいる。ショートヘアが似合う元気そうなこだった。
俺に気づくと、未央は手を振った。
「奏也君、飼い主が見つかったらしいよ」
先生が嬉しそうに言った。
「そうみたいっすね」
未央の隣にいるショートヘアの女の子は俺に頭を下げた。
「あのあたし、桜凛の1年の中条エリって言います。天羽さんと一緒にこのこ助けてくれたんですよね。ありがとうございます」
「見つけたのは未央だけどな」
俺が言うと、中条という子は未央のほうを見た。
「天羽さんがポスターを貼ってるのを見て、うちのこだってすぐにわかったんです。だから声かけて・・・・・ねっ」
未央は緊張した笑顔でうなずいた。
「でも天羽さんも動物好きだったんだね!何か嬉しいっ!このこのケガが治ったら、うちに遊びにおいでよ」
中条は未央の手を取った。未央が戸惑った様子で視線を上下にさ迷わせる。
「良かったな。楽しそうじゃん」
俺が言うと、未央はほっとしたようにうなずいた。
「じゃあ決まりだねっ」
未央は中条に押されながらも、友達が出来て嬉しそうだった。
その様子を見て、俺も何だか嬉しくなった。
未央には、楽しく過ごしてもらいたい。